項目1「情報機器の扱いに慣れる」
これは項目2「情報機器を活用するための基礎スキルを身につける」の前段階でもあります。一般にパソコンと呼ばれるコンピューターはもちろん、PDAやデジタルカメラ、DVカメラ、タブレット、スキャナ、プリンタ、iPodなど、情報機器と呼ばれるハードウェアを主な学びの対象とします。こうした情報機器にふれたことのない人を対象に、それはいったいどんなものなのかを体感してもらうわけです。これは、情報機器に対する食わず嫌い的な精神的・身体的抵抗を軽減する目的があり、今後の情報の授業や情報化社会の適応につなげるための布石です。個々のソフトウェアの知識や詳細な使い方を教えるのではなく、情報機器という道具の役割を主にハードウェアの側面から理解してもらう段階なので、できるだけ直感的に扱えるように環境を整えておく必要があります。小中高の分担でいうと、小学校の早い時期からが良いかと思います。
項目2「情報機器を活用するための基礎スキルを身につける」
情報機器の存在そのものに慣れたら、次の段階は種々のハードやソフトを主体的に使いこなせるようになることを目標にします。実際にいくつかのアプリケーションを使いながら学んでいくことになるでしょう。ここで最も気をつけるべきことは、特定のアプリケーションの操作スキルを学ばせる授業であってはいけない、ということです。
例えば、デジタルペイントを学ぶ場合、マウスかタブレットかという入力デバイスの種類に加え、PhotoshopやPainterやキッドピクスなど、アプリケーションも様々なものが考えられます。もちろん予算や使い勝手で選ぶことは大切でしょう。そのいっぽうで、選んだアプリケーションが今スタンダードとして使われているかを考慮する必要はありません。学習者が学ぶべきはメニューの位置や項目ではなく、デジタルペイントの本質の理解だからです。それには、デジタルで描くのとアナログで描くのとはどう違うか、デジタルの利点は何か、欠点は何かを理解してもらうことも含まれます。作品の二次利用ができる、やり直しが容易、複製が簡単、直感的に描けない、画材を扱う楽しさがない、緊張感がない、などいろいろあるはずです。学習者は、そうしたことを自分なりに消化して、アナログでいくかデジタルでいくかを、好みと状況に応じて選択できるようになればいいわけです。そのような授業を実現するためには、ただコンピューターを与えて、使い方を説明して、好きに描かせて作品ができれば終わり、ではいけません。学習者に自分の体験を立ち止まって考えてもらって、何かと比較したりして理解を深めてもらうような仕掛けを教師が用意しなければならないはずです。
情報教育の授業で問題にされる「どのアプリケーションを使うか」「何をやってもらうか」という要素は確かに大切ですが、それは「何を学んでもらいたいか」が明確であれば自ずと決まってくるものです。「デジタル画材の特性を知ってもらう」が目的ならば、それに付随する要素は二の次です。極論すれば「個々の作品の芸術面での出来」はどうでもいいわけですし、作品を作ることと直接関係のないOSまわりの操作には極力手間を取らせないことが必要です。そのための事前準備をきちんとして、当日時間を割くべきは、デジタルとアナログの違いを知るに十分な操作をしてもらうことや、プリントアウトしてみせたり、スクリーンに映し出してみせたり、別名保存の利便性をデモンストレーションすることでしょう。そしてその体験を学習者に消化してもらうことです。
もっとも、絵を描くならば楽しくやってもらいたい、作品として残るのだから作業時間を多く取りたい、という教師側の思いもあるかもしれません。そうなると、情報の時間は美術の時間にもなります。そこで考えるのが3つ目の項目です。
【転載】情報教育 再考 | 2005-07-22
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