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知のアウトプットとシェアの方法

とある情報教育系の学習会に参加してきました。ということで、久しぶりに投稿。

こういう学会や学習会に出席するたびに、「みんな思った以上にネットやデジタル機器を使ってないんだなぁ」と感じます。ネットやデジタルなものって、情報の授業の道具というかテーマというか素材じゃないと思うのですが、実際はあまり使ってないみたいです。それなのに、それを授業に取り入れていこうと頑張るというのは、ちょっと不思議な感じすらします。

誤解を恐れずに言うならば「インターネットとデジタルがもたらすものって、スゴイ!」と私は考えています。だって、今まで考えもつかなかった角度や手段で物事を捉えることができ、それを即座に形にして共有することができるのですから。それは旧時代を生きてきた人間にとっては世界が変わるような経験ですよ。これをエキサイティングと言わずして何と言うのか、なのです。

同じことは教育の文脈でも言えて、ネットの教育活用って「時間と空間を越えられる」とか「事務的なことの効率化」みたいなことがクローズアップされがちですが、エキサイティングという形容が当てはまるのは「発想のパラダイムシフトを起こさせる」ということだと思います。例えば、デジタルやネットを教育に活用することで、旧来の「教師中心主義的な授業」から「学習者中心の学び」にシフトするヒントが得られる、ということです。教育観のパラダイムシフトと相性が良い、というか。

日常的にネットやデジタルを道具として活用し、そのことが教育に与える影響を自ら実感すること。それが教育者にとって重要なことではないかと思います。というのは、学習会のテーマが「ネットを使って学びの知をシェアしていこう」みたいなものだったのですが、そこに行くにはそれが前提になると思うからです。

私はWeb制作という仕事をしていますので、一般の人よりネットを使っていると思いますし、デジタルなツールを日常的に試しています。こういう職業の人は、先に述べたネットやデジタルのパワーをより体感しているはず。では、知を共有して自己のスキルアップや環境を変えていくことを容易に実現しているでしょうか。

Web制作者もまた、学びたい・成長したい・問題解決をしたい、という意識と意欲を日常的に持っています。それは教師のケースと似たようなもの。Web制作者が取るアクションとしては、ツールやWebサービスを使って自らが持つものを発信し、共有し、改善につなげていくこと。例えばブログを書くことなどが代表的な例です。ブログを書く過程で考えが整理され、情報収集のクセがつき、コメントをもらったり他人のブログを読んで理解を深め、実務の改善につながるアイディアを得る、といったことです。ところが、これをやれている人はものすごく少ないのです。なぜか。

教師と同じです。日々忙しくて、時間的・精神的な余裕がないのです。知をアウトプットしてシェアするツールに慣れ親しんでいるWeb制作者ですら、この有り様。負けず劣らず大変な職業である教師が、こうしたことが難しいというのは仕方がないところでしょう。

でも、知のアウトプットがなければシェアもできないのは事実ですから、なんとかやっていくしかない。デジタルはそれを容易にする可能性を持っていますが、それを上手に生かす必要があります。そこでキーとなるのが、各アクションのコストを下げるということです。

とある学習会メンバーはSNSにコミュニティを持っていますが、実際はほとんど機能していません。書き込みも少なく、話も発展しません。その最大の原因だと思うのが、そのSNSにログインすること自体まれだという参加者が多いことです。日常的に使わなければ、使い方も覚えないし、活用のアイディアも浮かびません。コミュニティに参加する気持ちも生まれにくくなるでしょう。

実は、私は同じSNSにWeb制作者の勉強会コミュニティを持っていますが、これも利用の現状は似たようなものです。このSNSには毎日必ずログインしますし、参加者の多くもそうなのですが、使われないのです。なぜか。勉強会でやりたいこと、知のアウトプットとシェアと発展という活動に、このSNSが向いていないところがあるからです。私はコミュニティの主催者として、違うツールやサービスを日々模索しています。

このことから言えることは、日常的にツールを使うようにすることはもちろん、効率的に目的を達成できるツールを選ぶことも大切だということです。実際に会うと話が弾むのに、ネット上でそれをするとなるとうまくいかない。でも毎回会うわけにはいかないし、ネットでやるメリットはいくつかあるわけです。となると、参加の敷居を下げる、参加に必要な心理的・時間的・作業的コストを下げることが大切になるのではないでしょうか。

人間、やっぱり手間のかかることはしたくないもの。最近はCGMと呼ばれるユーザー生成コンテンツを軸としたサービスが数多くありますが、それでもコンテンツを生み出すユーザーは利用者の数%と言われています。だから、とにかく参加してもらえるような仕組みを作ること。それは一般ユーザーを参加させるエンタテイメントなサービスだけでなく、やる気と意欲がある有志のコミュニティでも同じではないでしょうか。

学習会ではサイトを使った試みが提示されましたが、正直そういった部分でのアイディアがパッと見では感じられませんでした(詳しく見てないのであまり言うのもなんですが)。ネット上でのコミュニティ作りは難しく、成功例もごくまれ、それに適した汎用システムもなかなかないというのは事実です。だから私のような外野が「これはちょっと魅力がないなぁ」などと言うのは、あまりに身勝手に映るかもしれません。

でも最初に述べたように、デジタルとネットは大きな可能性があると思っています。魅力的な成功事例が生まれる可能性を秘めています。個々人がアウトプットし、みんなでシェアし、それが個のレベルでパラダイムシフトを発生させ、それが現場を変える動きにつながっていくような。だからチャレンジすることは大きな意味があると考えています。

私は、Web制作の現場ではそういったチャレンジを自らやっていきたいと思っていますし、日本語教育や情報教育の世界に対しては、そうしたチャレンジをサポートしていければと思います。難しいことなのだから正直に難しいと言い、つまらないものには正直につまらないと言う。ま、こういう手厳しいのは私の性格ですけど(笑)ストイックになりすぎるよりは、楽しくやれる方がいいと思うんですよね。学びは本来楽しいものですし、楽しくないと続かない。だから、感覚に正直になる姿勢で見つめていくことは大切だと思うのです。逆に面白いことは面白いと言う、エキサイティングなことを見つけて盛り上げる、という。とにかく真剣に、思いを込めて取り組むということです。

学習会は毎回こういう刺激を与えてくれるので、本当にありがたい存在です。ちょっとでも多くの人が、こういう経験をしてもらいたい。そのために自分は何ができるか、いつも考えて活動したいものです。

その他未整理の話題 | 2007-04-29

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