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インクルーシブデザイン ワークショップ:携帯電話のデザインから見えてきたこと

2008.11.23 11:12 pm

インクルーシブデザイン ワークショップに参加してきました。その内容に関しては、写真付きの詳細なレポートを他の参加者のみなさんが書いてくれているので省略して(おい)私は参加して考えたことなどを書きます。

私はファシリテーターという役回りでグループワークに参加したのですが、メンバーのコメントや動きを観察しながら時間と進行を頭に入れて上手くサポートする・・・というようなことは全くできず、でした。もう、最後のプレゼンの質を最低限確保しようとすることで精一杯。幸いメンバーの方が非常に有能な方たちだったので、私がついて行けなくても結果を出してくれましたが。

ただ一般的に言えば、ファシリテーターはグループワークに必要だと思いますし、ファシリテーターはその役割ができる人でないといけない(当然か)なぁと思いました。こういった「デザインプロセスをデザインする」という試みに馴染みがない人が参加者にとっては、難しくて大変な作業だと思います。時間も限られてますから、状況を見て切り替えてやって行かないといけないですし。一定の成果をより確実に出して行こうとするには、ファシリテーターの働きが鍵になるかなという感じがしました。

目指すべきモックアップは「誰にとっても使いやすい携帯電話」という話だったのですが、最初のレクチャーで「ユニバーサルデザインが万能ではないように、すべての人に都合が良い要素を積み上げていけばいいわけではない」という話も出ていて、両者の折り合いはどうつけるのか?という疑問が頭の中にあるなかでスタートしました。

私のグループでは、参加者の意見交換の結果、携帯電話の手触りというフィジカルな面についての提案をすることにしました。これは、目が見えない人にとっては「さわってわかる」ということが大切だという話が数多く出た、ということもあるのですが、もうひとつ大きな理由がありました。それは「目の見えない人も目の見える人もいっしょに楽しみたい」というコメントがあったからです。

私は普段から携帯電話をあまり使わないタイプで、最近の携帯事情やニューモデルなどに大して関心がありません。ワークショップの準備時に、机の上に並べた携帯電話のモックを1つ1つさわって、スライドキーボードやディスプレイの回転具合などを確認していたのですが、そういう経験も初めてでした。「最近の携帯はすごいなぁ」などと思う反面、ボタンの密集感や可動部分の分かりにくさも実感していました。そしてグループワークの最中に指摘された使いにくさ、ボタンが密集していることや、ボディがスリムなぶんボタンが極小化・フラット化していることは、目が見える私自身も同じように感じることだったのです。

目の見えない人用に特別なモデルを考える前に、既存の携帯電話に手を入れることで、視力に関わらず使いやすくできるのではないか。視覚的な良さを犠牲にしないで、みんなが楽しめるモデルへのアイディアを探そう。そんな意識がグループのメンバーには強かったように思います。結果、ボタンの識別要素を色だけでなく形や手触りも加える、ボディの裏面に凹凸を作ると滑り止めになっていい、ボタンがディスプレイを兼ねることでボタンの大きさを犠牲にしない、といったアイディアが出ました。それらを実現するモデルは、目の見えない人専用のものではない、視覚的な良さを犠牲にしていないものである、というところに特徴があります(発表ではうまく言及できませんでしたが)。

他のグループの発表を聞いていて、全体的に小さなアイディア系が多いという印象を受けました(それは私のグループもある程度当てはまるのですが)。斬新なアイディアが出なかったというふうにも取れますが、誰のためのデザインか、どんな方向に向かって行くのかが(少なくとも私のグループでは)ファシリテーターが明確にしなかったことも影響していると思います。私のチームは「手触り」と「みんなが楽しめる」をコンセプトに据えることになりましたし、他のチームはもっと「目の見えない人が便利な要素の実現」に重きを置いていたように思います。また、コンセプトをまとめる必要性やその難しさで違う答えを出したグループもあった気がします。だから、最後にグループごとのアイディアを比較しにくかったのは必然かなぁと思います。ここもやっぱりファシリテーターが重要なのではないかと。

私がワークショップで学んだことは、少なくとも携帯電話は、視覚表現を意識するあまりフィジカルな部分のデザインが弱いところがある、ということでした。コスト削減という要素もあるのでしょうが、ボタンが押しにくい・握りにくくて落としやすいなどと感じているのは、何も目が見えない人だけではないように思います。「専用」のデザインの意味を考え直すこと。デザイナーがすべきことはまだまだあると感じました。

ちなみに、私たちはフィジカルを重視するので物理ボタンの重要性を強調しましたが、それは「iPhoneは問題外」という意味ではありません。確かに現時点でタッチパネルは手触り感が出せないので、私がもし視力を失ったら使えないデバイスになるでしょう。でも、ソフトウェアでインターフェースを実現することで、ボタンのサイズやレイアウト、音や視覚の反応という面では自由度が上がり、視覚要素を駆使した使いやすさを追求したものになっていると思います。逆に言えば、ハードウェアのボタンを持ったその他の携帯電話は、その特性を生かした使いやすさを追求できるはずで、そこはまだまだ足りないように思います。そしてもちろん、その中間や別の発想のモデルが出てきてもいい。いくつかのバリエーションの特徴がグラデーションになっていけばいいと思います。

category: 社会, セミナー, デジタルねた

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